
一昨日お客さんからリクエストされた盤がそのまま横に積んであったので、客が切れた0時以降に久しぶりに独りで大音量で堪能した一枚。
ファースト・プレスの完品がこちら。

左から見開きジャケ。こちらはざら紙。次がインナー・スリーブ。真ん中は小さいポスター。そして盤のセンター・レーベルはリプリーズではこれしかないと思う真っ黒け。
音はバリバリでシャキシャキです。ほぼ一発録音のスタジオの雰囲気が堪能できます。
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昔読んだニール・ヤングのインタビュー記事。
「過去リリースした作品でどれがお気に入りですか?」
という質問に、ニール兄貴はこれを挙げていた。
理由は
「嘘がない、リアルな作品」
というもの。
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「バッファロー・スプリングフィールド」というバンド(3枚全てが宝物)でデビューした兄貴は、スーパーグループ「CSN&Y」の活動と並行して「AFTER THE GOLD RUSH」「HARVEST」というシンガー・ソング・ライター・ブームを代表する2枚のソロアルバムで時代の寵児に上り詰めていく。
しかしながら偏屈な兄貴のこと(笑)、そういうパブリック・イメージに耐え切れず、「JOURNEY THROUTH THE PAST」「TIME FADE AWAY」というかなり難解なアルバムを発表。ホント偏屈・・・・・・。
そんななか、自身のバックを努める盟友「CRAZY HOUSE」のギタリスト、ダニー・ウィットン、CSN&Yのローディー、ブルース・ベリーを相次いでオーバー・ドースで亡くしてしまう(RCの「ヒッピーに捧ぐ」を連想します)。
そんな彼らに向けられたのがこのアルバムなのだが、ポップスとして完璧さを求めるスタイルとはまるで正反対の出来なのであります。
クレイジー・ホースのリズム・セクション+ニルス・ロフグレン(その後ブルース・スプリングスティーンの片腕として大活躍)&ベン・キース(名スティール・ギター・プレイヤー)と共に作ったこのアルバムは、とにかくベロンベロンに酔っ払ったリハーサル・スタジオ一発録音が中心。
演奏ヨレヨレ、ヴォーカルはへニョへニョ(笑)。
けど、なんだかグッと来るのが不思議。
そして、妙なバカ空騒ぎ感が胸をかきむしるのだな。
ふと思い出したのが、インディペンデント映画の創設者ジョン・カサヴェテスの「ハズバンズ」という映画。
僕の大好きな映画5本のうちの一本なのだが、残念ながらDVDにもヴィデオにもなっていない。
ただ、カサヴェテスの映画はよくまとめて都内で上映されるので、機会があったら是非。
ちなみに、こんな変てこな映画ばっかり観ているが、僕自身それほど映画に肩入れしていない。というかあんまり知らないし、別に映画に「意味」も求めてないのです。だから僕に映画の話をしてもあんまし広がりませんのであしからず(笑)。
で、この映画の内容。
大学時代に仲がよかった男4人組のうちの一人が若くして亡くなってしまう。残された3人はこの気持ちをどう扱っていいかわからず、3日間、ただただ呑んだ暮れ、おのおのが何かを引きずりながら、その後日常の生活に戻っていく、というもの。
でも人の死に接するってそういうもんだと思う。
凄くリアルな話だ。
死を美化して表現するのは実は簡単で
でも実際のところ、そういうもんではないでしょ?
自分が死んでないからなかなかその事実を理解できない。
でも自分は生きていかなきゃいけないので、人それぞれ、その死を納得させる自分なりの理由を見つけようとする。
その方法は、意外と「明るかったり」するのです。
でも、それは間違いじゃないと思う。
他人の「死」というものは、実は生きていくために自分を見つめなおすきっかけになっているかもしれない。
生死は「生き物」としての人間が避けては通れない業である。
「ベロンベロン」という手段はひとつの解決方法だ。
それで自分が納得すればいいのではないか?無理矢理だけれど。
少なくとも人に迷惑をかけなければ(笑)。
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要はそんなアルバムです。わかるかな?
ハイライトはやっぱりA面最後の曲「MELLOW MY MIND」。
でもこれくらいグッとくるものもなかなかない。
「音」って不思議だ・・・・・・・。
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余談であるが
僕は「本日のおつまみ」として、メニューを毎日手書きで3,4枚ほど書いている。
「なんでコピーしないんですか?」ってよく訊かれるけど
理由はニール・ヤング兄貴です。
彼は今に至るまで、アルバムのタイトルや付録の歌詞カードを全部手書きで書いているのです。
だから「兄貴」のやってることは真似しないと(笑)。それで、全部手書き。
そのくらいニールヤング好き。
そういうところはアホなくらいミーハーです。
誰にも解ってもらえないくらいマニアックですが(笑)。