読み始める前は、いろんな音楽を通してある意味アメリカの象徴である「国道66号線」の意味に迫る、というものなのかな?と思ってたけど
読了後の感想は、66号線という横線を軸にした著者のロック愛溢れるアメリカ観と音楽のエッセイ集だった(笑)。
まぁ、でも読み応えありますよ。凄く詳細に調べてるし。
あそこに居なければわからない感覚を知れるのは読んでて面白かった。
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その土地に行かないと本当のことがわからないものがあって。
昔、グレイハウンドバスでメンフィスからナッシュビルに移動してる最中
相当なスピードを出してるはずなのだが
その横を窓全開でタトゥーバリバリのぶっとい二の腕出しまくりながらコンボイみたいなトラックで飄々と抜いていく様を見たときは
38スペシャルとZ.Zトップの音しか脳内再生されなかったな(笑)。
「ああ、こういう環境だからあれが支持されるんだろうな」って。
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ボブ・ディランの歌い方は実に言葉がわかりやすい、という記述が今回一番興味深かった。
10何年もアメリカに住んでる人にしかわからない感覚であろう。
ちょっとうらやましい。
アイルランド人の友人、アンディはイェイツなんかの詩を専門とする大学教授なんだけど
英語ネイティブ(彼はゲール語もちゃんと理解してますが)の彼に「ディランってどう聴こえるの?」って訊いたことがあって
「言葉が飛んでくるんだよ。次の想像を超える言葉が。だから想像力が限りなく広がる」って。
こういうのはボブ・ディラン詩集読み解いてもわかんないんだよな。
音と言葉が一緒に入ってきたときに感じることが音楽なんだろうなって思う。別々に語ることではない。考察は必要だけど。
だからね。
いつも言ってるけどさ
キヨシローの歌詞を批判したP.B氏は
やっぱり嫌いなんだよな。エゲレス人のお前に何がわかるんだよって。
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「ON THE ROAD」
の生き方は
自由を求める究極のかっこよさだと思う。
でも、それができる人とできない人がいるのもこの歳になるとわかる。
1988年にナッシュビルに滞在した時
毎日近くのコーヒーショップでノビノビのスパゲッティとか食べてたんだけど(他に店の選択肢なし)
同い年の黒人のでっかいウエイトレスと仲良くなって
最後の日に
「サトシはいいよね。好きなところに好きなように移動できるから。私は家族のこともあるからずっとここが私の世界なの。これからも多分、ずっとね」
道に投影する生き方
動けない生き方
どちらも人生なんだよな。
自分がどう選ぶかだけなんだよな。
どちらが正しい答えだということはない。
・・・・この本、多分もう一回読みます。