1月4日(火) JUNCO PARTNER

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新年明けましておめでとうございます。
 
今年もご愛顧の程、よろしくお願いいたします。
 
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さて、本年最初のお客様はHカ嬢。
 
来た途端に新年早々凄い質問を浴びせてきた。
 
「あのさ、ジャズピアノ弾きたいんだけれど、なにから聴けばいいの?」
 
とても難しい質問(笑)。
 
かつモダン・ジャズにかなりの偏見を持つ僕は彼女にどう教えていいのやら(苦笑)。
 
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一応僕なりのピアニストの系譜というのがあって。
 
 
これ、どっかで聞き覚えたのかもしれない。もしかしたら昔、油井さんが書いていたのかも。
 
でも、5年前に上映されたマーティン・スコセッシ監修の「ザ・ブルース・ムービー・プロジェクト」のなかの一作「ピアノ・ブルーズ」で監督のクリント・イーストウッド(彼自身も優秀なジャズ・ピアニストだ)が同じこと言ってたので、少なくともブルーズあたりからジャズに接したい方には間違っていない流れだと思う。
 
ちなみにこのプロジェクト・ムービーの中でも、この映画は非常に素晴らしいので未見の方は是非とも接していただきたいっす。
 
最後がレイ・チャールズの「アメリカ」で終わるのは、「健康的右翼」のクリントさんらしくてご愛嬌だが(笑)。
 
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本日はその通りの流れでBGMが進みます。
 
途中パソコンで「真夏の夜のジャズ」を観たり(これまた必見ジャズ・ドキュメンタリー映画)、盛り上がってダイナ・ワシントンのライブ盤聴いたり、
 
「オルガンだったらこれがエロい」と言ってシャーリー・スコット&スタンレー・タレンタインのレコードをかけたり。
 
でも、やっぱりジャズ・ピアノばっかり聴いていると飽きてくる性格なのだ。
 
どうにもアクの強いものが好きらしく(笑)。
 
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落ち着き先はこれ。
 
ニュー・オーリンズが誇る人間ジューク・ボックス。真の天才ピアニスト、JAMES BOOKERが76年にアイランドからリリースした「JUNCO PARTNER」です。センター・レーベルが黒のこのジャケットがオリジナルかな?B屋さんが執筆した「ニュー・オーリンズ・ミュージック・ガイド・ブック」でもこちらの写真を載せていたのでたぶんそうです。
 
一曲目はなんとショパンの「子犬のワルツ」!これを聴いた皆様ビックリ(笑)。なんでもクラッシック・ピアノをやっていた人に言わせればこの解釈は「ありえない」んだそうで・・・・・。楽譜に指定されているはずの音の強弱等は完全無視。やりたいように弾きまくっている、とのこと。好き勝手に慣れている身としては、古典音楽界のしがらみの大変さをなんとなく感じたり(笑)。
 
以前のブログでも書いたが、この人の右手と左手の関係性は全く理解できないくらいに凄い。そして一音一音が抜群なシンコペートで奏でられるのです。
 
ピアノ弾いたことがある人なら、その音に悶絶すること請け合いだと思います。
 
彼のアルバムはCD時代になっていろいろリリースされています。ピアノ・ソロが多いけど、バンドを従えた超ドファンクなやつとか、オルガン・インストものとかも60年代にピーコックからリリースしていたり、と一筋縄ではいきません。
 
ドクター・ジョンの自伝「フードゥームーンの下で」でもかなりの紙面を割いて、盟友のことを綴っておりますが、まぁ演奏同様私生活も無茶苦茶でした。
 
当時のニュー・オーリンズのミュージシャン同様、彼も正真正銘のジャンキー。何度もぶち込まれた刑務所ではカマを掘られ「アチラ」に開眼(笑)。アイパッチをしている片目は、金絡みのトラブルで失ったもの。
 
最後はコカインのやりすぎで入院したチャリティー・ホスピタルでほったらかしにされ、息を引き取った。43歳の時。
 
まさに彼は「JUNCO PARTNER」の唄そのもの。
 
ヤク中、売春婦、スケコマシ、イカサマ師の大賛歌がこの曲。
 
猥雑だった50年代ニュー・オーリンズそのままの唄。
 
彼の素晴らしい演奏は、時代を超えて我々の手元に残されたのです。もっともっと評価されるべき人だと本当に思います。これはまさに「世界遺産」なアルバムなのですよ。
 
 
 
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彼には親愛なる弟子がいました。
 
映画「メンフィス・ベル」にも出演した二枚目俳優&ジャズ・ミュージシャンのハリー・コニックJRです。
 
二人がどこまでの関係であったかは知る由もありませんが(笑)、91年に刊行された「ニュー・オーリンズ・ジャズ・フェス」の写真集に載っていた70年代の二人の写真を載せておきます。
 
 
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