山は動いた?

昔からそうなのだが
 
偶然だか必然だかはわからないのだが
 
物事が動くときって、いろんなものが重なるのである。
 
というか、自分の興味があるものをその時々で選択しているからそういうふうになるのかもしれないけど。
 
 
今年になって、自分の店でライブを始め、いろんな「弾き語り」スタイルのミュージシャンを間近で観る機会に恵まれた。
 
自分も恥ずかしながらギターやアコーディオンなどの楽器を演奏するので、必然的にその弾き語りスタイルに興味をそそられたのかもしれない。
 
 
アメリカン・フォーク・ミュージックは昔から好きで、なんとなくいろんな本を読んだり、コンピレーションアルバムを聴いたりして、唄い手の代表曲などは把握していたのだが、
 
そもそも基本は伝承歌が、歌い継がれることにより形を変えていくそのさまはあまりにも深く広い世界なので、なかなか本格的に手をつけられずにいた。
 
幸いなことに、高田渡という稀有なオッサンと仲良くさせていただいたおかげで、確かにいろんなレコードを聴かせてもらっていたりもした。
 
でも10年前は、本格的に顔を突っ込む気にもならなかったのも事実なのです。
 
他に興味がある音楽が山ほどあったから、そっちを優先させていたのかもしれない。
 
アイリッシュ、ブリティッシュなどのトラッド、ブラジルのショーロ、サンバ、クレヅマーなどなどきりがなかった。
 
でも、いろんな民族が流れ着いた実験国アメリカで、さまざまな化学反応を経て多種多様な音楽がその土地で独自の発展をしたり、またはジャズやR&B、そして20世紀最大の「発明」ロックン・ロールというポピュラー・ミュージックへといたる過程で、伝承歌は本当は無視できない存在で
 
だからいつでも気にしていたのも事実なのだ。
 
ようやく今年は山がついに動いたのかもしれないです。
 
 
きっかけは
 
今年発売された桜井さん率いるLONESOME STRINGS & 中村マリのアルバムだったり
 
常さんの唄に日常にある「もののあはれ」を感じたり(これ矛盾してるかな?)
 
優作君の唄に出てくる、非常に小さな世界の描写の裏にある普遍的な大きな力からいろんなものを感じたり
 
この間観たスーマーのバンジョーの響きに、20年前に行ったアメリカ南部で観た、200年前から変わらないミシシッピー川と綿畑の光景から、今僕らが住む21世紀の日本の現状に脈々と繋がる「生活する」という中での基本的な大事なことの匂いを嗅ぎ取ったり
 
 
そんなものが重なって
 
そんな流れの中で
 
ついにこのアルバムと出会いました(遅いって?:笑)
 
 
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58年にデビューして、アメリカの伝承唄を現代によみがえらせたNEW LOST CITY RAMBLERS(以降NLCR)のオリジナルメンバー、トム・ペイリーがそのルーツをさらに探るべく、バンドを脱退して英国にわたり先に渡英していたペギー・シーガーと共にスコッティッシュアイリッシュ&ブリティッシュアパラチア山脈に流れて歌い継がれた伝承唄をさらに60年代に唄い紡いだ美しいアルバムです。
 
64年、英TOPICからの発売。オリジナル・英アナログ盤はちょっと高価で買えないだろうなぁ・・・むちゃくちゃ欲しいけど(笑)。
 
ペギー・シーガーは改めて記しておきますと
 
NLCRのマイク・シーガー、それからウィーバーズのピート・シーガーの妹。渡英してからはイーワン・マッコールと結婚しました。イーワンさんはポーグスでも有名な「DIRTY OLD TOWN」の人です。
 
余談ですが、僕の友人でマンチェスター出身の強力なユナイテッド・サポのイングランド人がこんなことを言ってました。
 
「「DIRTY OLD TOWN」は僕らの街マンチェスターのことを唄ったんだよ。そりゃあ酷い街だったよ(笑)」
 
 
 
 
このアルバムに出会うきっかけになったのは、秋前にようやくNLCRのフォークウェイズ・オリジナルアルバムを購入したこと。2009年にNLCRの音源はほとんどCDで再発されましたが、どうしてもオリジナルで揃えたいので、あくまでもヤフー・オークションで出てくるのを待つことにしてます。
 
このアルバムも渡さん家で聴かせてもらってたのだが、ようやく自分で手に入れるとその凄さがよくわかります。
 
で、いろいろ探っていたらこのアルバムにたどり着きました。
 
これ、VIVIDから出た日本盤。
 
解説を読むと、このアルバムからインスパイアされたアルバムがいろいろ出てくる。
 
まずは92年のボブ・ディランの弾き語りアルバム「GOOD AS I BEEN TO YOU」。
 
リリースされた当時、すぐに買ったんだけれど、もう一度これも聴きなおそうと思ってCD棚を調べたら、ない。。。。。あ、売っちゃったんだ(笑)。買いなおします。
 
そしてこの15年間の絶対的愛聴盤、グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアと脅威のマンドリン・プレイヤー、ディビッド・グリスマンの共作「SHADY GROVE」。これ、渡さんと一緒によく聴いてました。
 
 
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聴きすぎて、表のデジパックはボロボロです。。。。。
 
なので、このアルバムのおかげで僕の中のいろんなものが一気に繋がりました。
 
 
こうなったら突き進みます。深い、とてつもなく深い伝承唄の世界に!!(笑)
 
 
 
当時のレコードは解説がしっかりしているので、ここからいろんなことを学ぶことができます。
 
久しぶりに英文をしっかり読むつもりです。
 
歌詞も当たり前のように重要。
 
演奏スタイルも大切ですが、やはり核心は「なにを唄って伝えたいか」ですので。
 
自分なりにいろいろ解釈しながら聴き進めたいと思ってます。
 
 
今の日本もかなりのハード・タイムス時代。僕も毎日生きるのに必死です。
 
ここを解釈することによって、人間が生きていくことの本質が少しでも自分なりになりにわかればいいな。
 
メディアから与えられた情報からじゃなくて
 
自分がどう考えて、この時代に向き合っていくか
 
 
世間の流れではなく、いかにぶれない自分でいられて、そのつじつまがあうか(笑)
 
こういう問いかけへのヒントが
 
ここにあるような気がしてしょうがないのです。
 
 
だから
 
こういった古いものに僕がもういちど向き合うのも、この時代での必然なのかもしれません。
 
 
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去年の近畿旅行で、伊勢の古本屋で購入したこんな本も読みながら
 
 
自分なりに「フォーク・ソング」というものに今一度向き合ってみたいと思います。
 
 
そんな感想を
 
ちょこちょこブログにアップしていきます。
 
どうかお付き合いのほどを・・・・・・