2011.10.8 石原ケンザブロー

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ライブをする前には、ほぼ必ず「サウンド・チェック」という作業がある。
 
その場所で、演奏者とPA側がどういう音を出すか(音量、音質、バランス等々)を確認する作業である。
 
今回はそのお話からです。
 
 
ケンザブロー君とは何度かお遭いしたこともあるし、電話でもよく話をする。また彼のバンド「The TRAVELLERS」も大好きでよく聴いている。
 
ただ、今回は彼のソロ・ライブなのだ。
 
果たしてどう出てくるのか?
 
ソロでやるからには、バンドのイメージとは違うことにアプローチするのだろうか?例えばギブソンのスーパー400なんか爪弾いて、朗々とスタンダードを唄うとか。
 
はたまたまったく違うスタイル、例えばアコギを持って「実はフォーク好きなんです」とくるのか?(笑)。
 
まったくもって予想できないのである。
 
 
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店オープンの3時間前に彼はやってきた。
 
「おはようございますー!」
 
たとえ夕方でも真夜中でも、音楽業界と飲食業界のあいさつは決まってこれだ(笑)。
 
ギターアンプがあったら嬉しい」とのことで、あらかじめケンザブロー君も顔見知りのTカシからフェンダーのブルースJrをお借りした(ハイパーチューンアップ済みの素晴らしいアンプです)。
 
ケンザブロー君が持ってきたギターは、いつもの愛用のグレッチ・カントリー・クラブだった。
 
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ひとしきりギター談義に花を咲かせた後、いよいよサウンド・チェックが始まった。
 
「じゃぁ、ちょっと音出してみますかー」
 
何曲か弾いて唄ってもらう。
 
最初はこちらも小さな音で、バランスを取りながら音を出していく。
 
本当にうちはたいした機材を持ち合わせていない。「のろ」からお借りしているギターアンプ2台をミキサーで振りながら鳴らしているだけだ。今回使用するマイクは2本のみ。
 
でも、いつも思うのだけれど、これだけの機材でも限りなく演奏者に、そして聴いていただくお客さんに気持ちよく響くよう努力を惜しまないつもりでやってる。。。つもりです。
 
そしてお互いの無言の探りあいが始まる。理想は演奏者が出したい音をダイレクトにお客さんに届ける音響。
 
徐々にギターと歌のバランスは取れてきた。でも、それはこちら側の「都合」だ。果たしてケンザブロー君はこの音でいいのか?演奏しやすいのだろうか??
 
なんとなく30分が過ぎた。激しいロックン・ロールから妖艶なラテンまで、ケンザブロー君は何曲も唄って、納得する音を模索していく。
 
「こんな感じでOKだろうかね?」
 
と僕が思ったそのすぐ後だった。
 
「あ、木下さん、もうちょっとギターアンプの音、上げてみてもいいですかね?」
 
アンプのヴォリュームを上げると、彼の愛器のグレッチの音が少しだけ歪み、じゃじゃ馬のような本来の姿を見せ始めた。
 
そう、グレッチはそういうギターなのであった!!ある程度大きな音で鳴らしてあげないと「あの」感じにはならないのである。ハウリングするちょぴり手前がグレッチの一番いい音。
 
それをケンザブロー君がカッタウエイの上にあるマスター・ヴォリュームで巧みにコントロールしていく。
 
唄が生き生きとしてきて、リズムの歯切れがどんどんよくなってきた。
 
彼が「相棒」の今日の機嫌を汲み取って「乗りこなした」のである。
 
「あ、これだよこれ!!!!」
 
本番へむけてなんの不安もなくなった。
 
あとはお客さんに来ていただくだけだ。
 
 
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最初、お客さんの入りが遅くてものすごく僕は焦ったんだけど
 
百戦錬磨の彼はどこ吹く風で「まぁそのうち来ますよ。時間早すぎるから」って、小心者の僕からすればうらやましい太っ腹だ。
 
で、開演。
 
最初は初めての場所でお客さんとの距離を確認しながら。
 
でも気がついてみたら、みんな楽しそうに彼の唄に乗って
 
気がついてみたら、あとからどんどんお客さんが来てくれて
 
気がつけば彼のロッキン・ブルースで
 
この日のハバナムーンは、まるで昔のアメリカ南部のジューク・ジョイントのようだった!!!
 
終わってからのみんなの顔の嬉しそうなことったら(笑)。
 
最高でした!!!
 
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この日のセットリスト。わかる限り書いてみた。
 
1st.Set
 
1.IS YOU IS OR IS YOU AIN'T MY BABY(LOUIS JORDAN)
2.SEA OF LOVE(PHIL PHILLIPS)
3.みじめな人(小学生のときに書いたオリジナル!!)
4.さえてる人(上記のアンサー・ソング:笑)
5.LET ME JUMPS AGAIN(オリジナル)
6.BELIEVE IN MUSIC(LOUIS JORDAN)
7.I WANT A LOOF OVER MY HEAD(LOUIS JORDAN)
8.LET'S FALL IN LOVE(COLE PORTER)
9.IT'S MAGIC(山下達郎
10.・・・・・・・竹内マリアの曲
 
2ndSet
 
1.THAT'S ALL RIGHT(ELVIS PRESLEY
2.BABY LET'S PLAY HOUSE(ELVIS PRESLEY
3.KNOCK ME A KISS(LOIUS JORDAN)
4.SABOR A MI(ALBARO CARRILLO)
5.はじめてのチュウMy first kissキテレツ大百科)・・・これよかった!!!
6.BlUE HAWAII(ELVIS PRESLEY
7.I'VE GOT YOU UNDER MY SKIN(COLE PORTER
8.新曲(藤井尚之さんとのニューアルバムから)
9.MYSTERY TRAIN(ELVIS PRESLEY
10.I'M CRAZY ABOUT YOU・・・だったっけ、かな???
11.失くした光(azumi)
 
Encole
 
SWEET SUE etc・・・・・
 
楽しすぎてメモするの忘れて覚えてない(笑)。
 
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打ち上げの時に、ケンザブロー君に言うの忘れたお話。
 
昔、僕が大学生の頃
 
笹塚の風呂なしアパートで毎日音楽にまみれていた時
 
当時は(今でもだが)金がないので、レコードを買うにも限界がある。当時付き合ってた彼女がまたレコードオタクだったので、ジャンル別に手分けしていろんなレコードを買おう!ということになった。
 
僕の担当はブルーズ、ソウル、ニュー・オーリンズR&B、ジャイブ
 
彼女はジャンプ系。
 
大学が御茶ノ水にあったので、学校に行くよりもはるかに多い頻度で、ディスク・ユニオンの「本日入荷」コーナーをほぼ毎日チェックしていた。
 
そこでルイ・ジョーダンなどのレコードを買い漁り
 
そしてそのレコードは彼女の元へ行き、僕はカセット・テープにダビングしてもらい楽しんでいた(もちろん逆のパターンもあるが)。
 
当時出ていたルイ・ジョーダンの再発アナログ盤はほぼコンプリートに近かったと思う。
 
就職して程なく、彼女とも別れの時がやってきて
 
シェアしていた感覚だったルイ・ジョーダンのレコードともおさらばと相成った。
 
月日は流れ
 
30歳も半ばくらいであろうか?
 
友人のハーピストのコテツが当時働いていた渋谷の「サムズ」というレコード屋さんに遊びに行った。
 
すると、片隅に「JUMP BLUES 大特集!!」というコーナーがあるではないか!!
 
「おおっ!」と僕はそれこそ叫んだのである。
 
なにせ「いつかはもう一度揃えなおしたい」と思っていたJUMP系のレコードだ。
 
一目散でその棚へ行き、一枚一枚吟味し始めた。
 
そう、本当に一枚一枚。。。。。
 
すると変なデジャブ感覚が襲ってきた。
 
あれぇ・・・・?これ、全部見たことあるぞ・・・・・・
 
というか買ったことアル。。。。。
 
おかしい。あまりにもおかしい。デジャブじゃなくて、こりゃあまりにもおかしい。
 
おそるおそるコテツに尋ねてみた。
 
「ねぇ、このジャンプ特集コーナーってどうしたの?」
 
「あぁ、これね。実はワン・オーナーの所有物でね。『もう聴かないから』ってまとめて売りにきたのよ」
 
「・・・・まさか・・・・・それってこのくらいの背丈の女の子じゃない????」
 
「そうそう!!あれっ、知り合い??」
 
 
 
 
そうです。昔の彼女がレコードを手放して
 
だから
 
昔僕が買ったり聴き漁ったまさにそのレコードが目の前に鎮座していたのでした(笑)。
 
 
そのレコードをまさか「買い戻す」なんていう勇気も起きず
 
・・・・でも相当迷いましたが(笑)。
 
 
あぁ、あれから出会っていないレコードが一体何十枚あることだろうか・・・・・。
 
でもこれもある意味「運命」ですので、受け入れることにしてますよ。
 
 
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ケンザブロー君が唄ってくれたルイ・ジョーダンの「BELIEVE IN MUSIC」はまさにその中の一枚に入っていた曲で。
 
本当にあれから25年ぶりくらいに聴いたのでした。
 
ルイ・ジョーダン生前最後の録音はそれほどの出来ではないのだけれど(だったような気がする)
 
この曲は凄く好きだったのでね。
 
だから、これを唄ってもらったとき、いろんなことが思い出されてきて
 
ちょっと感慨深かったです(笑)。ありがとね。
 
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ライブ終了後、この日もよく飲みました。
 
観に来てくれたLeyonaイノトモ、ロッキン・エノッキーさんたちとギター弾きながら唄いまくった大宴会。
 
こっちが本番だったかも(笑)。
 
最後の記憶はありません・・・・・ご迷惑をおかけしていなければいいのですが・・・・・。
 
 
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ということで、本当にいいライブ&打ち上げでした!!
 
ケンザブロー君、また唄ってくださいね。よろしくお願いいたしますー
 
そして、今回観れなかった方も次は是非!!!!
 
この日の名言は
 
M嬢の「結婚してください!」かな(笑)。
 
 
当日の写真が僕のFacebookにアップしてありますので、よかったらこちらも見てくださいね。Facebook使っていない方も見れるみたいです。