7日(月) ブルーにこんがらがって

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先日、常連のY子女史が、店に入ってくるなり壁にかかっているレコードを見てこう叫んだ。
 
「木下さん!!ディランなんて聴くの???いや~びっくりした。この店で初めて聴いたわ」
 
いやいや、Y子ちゃん、けっこうかけてますよ~。
 
なんだかんだ言ってディラン好きですから。ちょっと語弊があるかもしれないけど。
 
僕はディランを「フォーク・シンガー」とみたことは一度もなくて
 
面倒くさいけど
 
「ある時期『フォーク』という形を拝借したロックン・ローラー」
 
だと思ってる。
 
こんだけキャリアが長くて、いろんな方面に影響を与えている人なので、一言で片付けるのは大変なのですが
 
おおまかにいうとそういうスタンスです。
 
でも、恐ろしいほどに「フォーク」にたいする造詣は深いけど、ね。
 
ディランのことについて書き始めると大変長くなる。
 
著名な評論家方も(海外も含め)、ディランについていろんな文章を書いているが、どれひとつとして一言でクリアになる論評はひとつもない気がする。
 
そして、彼自身による自伝でも、彼の表現に対するスタンスはいつも読者を煙に巻くだけなのだ。
 
そのくらいミステリアスな人なのかもしれない。
 
ディランに対する見解で、西荻窪界隈の飲み屋で何度も喧嘩している(笑)。
 
要は一筋縄ではいかないのだ。
 
ただ聴く側としては
 
ボブ・ディランという「ジャンル」を一方的な偏った思い入れだけで聴いたり語ったりするとろくなことにならないよ、ということ。
 
そして、もうひとつ言えるのは
 
今までのボブ・ディランの全キャリアを追って、過去の偉大なるアメリカの音楽の遺産と照らし合わせれば
 
アメリカン・ミュージック」の全貌を俯瞰できるきっかけになり得るよ、ということであります。
 
・・・・・・・あぁ、面倒くさいでしょ?(笑)。
 
でも多分彼のことが僕は好きなのだ。
 
今数えてみたら、ディランのアナログ盤が30枚ほど、CDは10セット近くあった。
 
Y子ちゃん
 
僕、ボブ・ディラン大好きみたいよ・・・・・・・
 
 
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ボブ・ディランの通算15枚目のアルバム「BLOOD ON THE TRACKS」です。75年発売。邦題は「血の轍」。
 
僕の持っているのはコロンビアのサード・プレス盤。でも音いいよ!!
 
見分け方は裏ジャケ。
 
ファースト・プレスはピート・ハミルによるライナーが「黒文字」で書かれたもの。
 
セカンド・プレスはデヴィッド・オッペンハイムのイラストが全体に描かれたもの。
 
サード・プレスはファースト・プレスのライナー文字が「白文字」で書かれたもの。
 
セカンド・プレスの裏ジャケ全体イラスト盤がレアらしいが、再発盤でもこれが採用されていたりするので、購入の際にはご注意下さいまし。
 
ちなみにレコードナンバーはサード・プレスまで全て「PC33235」です。
 
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「70年代のディラン最高傑作」と呼び名の高い名盤である。
 
とにかく、声の艶と張りは全キャリアの中でもこの時期が一番だと思う。
 
で、内容は彼の作品中一番わかりやすい時期なので、是非日本語の対訳詞でも参考にして聴いていただきたい。
 
この時期、ディランは当時の嫁さんサラとの家庭問題に悩んでいて、そういう内容ばっかり(笑)。
 
これと、次々作の「欲望」はそんな唄ばっかりだ。
 
ディランの歌詞は、ビートニックに影響された「言葉の塊の羅列」で聴く側のイメージを喚起させるのが手法だが
 
とにかくこの時期は、オンナ問題に終始するので(笑)
 
結構ダイレクトな表現が多く、そういうバックグラウンドを前提に持っていれば、わかりやすいといえばわかりやすい。
 
でも
 
そういうプライヴェートな処々の問題を、きっちり普遍的な「恋愛ソング」に昇華できるのが天才たる所以なんでしょうなぁ・・・・・。
 
まぁ、モテるよな、やっぱり(笑)。