28日(火) 石

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なんて朗らかなアルバムなんだろ。
 
今日かけていて「あぁ、こんなアルバムなんだ、これ」って妙に感慨深くなった一枚がこれです。
 
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渡さんの73年にベルウッドから発売された5枚目のアルバム「石」。
 
これはビックリするくらいの超ミントコンディションで、10年くらい前に吉祥寺のディスク・ユニオンでゲットした。
 
僕の持っている渡さんのレコードは、一応記念のために本人のサインを入れてもらっていたのだが
 
これはあまりにも綺麗な状態なので「価値が下がる!」と言って本人にサインを入れさせなかった思い出の一枚です(笑)。
 
渡さんもあまりの綺麗さにビックリしてたなぁ。
 
「お~い木下君、俺の持ってるボロボロのやつと交換してくれよ~」だって。
 
もちろん丁重にお断りいたしました(笑)。
 
中ジャケに印刷されている写真は、吉祥寺にある「ハモニカ横丁」にあった卵屋さんのオバァちゃんを、渡さん自慢のライカで撮ったもの。
 
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渡さんは写真が大好きだった。
 
よくいろんな写真を見せてもらった。
 
渡さんと喧嘩してたときに、彼が僕を撮った写真が3枚あるんだけれど、
 
本当に心の底を見透かされているような意地悪な絵なんですな(笑)。
 
写真って怖いなぁって本当に思った。
 
昨今の若者はなんでもかんでもアホみたいに携帯で写真を撮るけど、
 
僕にはそういう経験があって、かつ物事の本質を瞬間に掴み取るそういう才能が皆無だというのを認識しているので
 
軽々しく写真を撮れないんですよね。
 
だから自分の子供の写真もほとんどない(笑)。
 
そういうのはカメラマニアの親父に一任してます。なんで親のそういう才覚を受け継がなかったんだろ?
 
人生最大の後悔のひとつです・・・・・・。
 
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今日のレコードのテーマは「年末感の和モノ」で
 
そんな流れでこのレコードをかけたのですが
 
いつものように常連ばっかりの店内をカウンターの端から眺めていて
 
このレコードとみんなの笑顔が一番しっくりきた。
 
15年この店をやっていて、渡さんとの想い出は昔からこの店に通ってくれていたみんながそれぞれ持っている。
 
それは「ミュージシャン」としての渡さんを知らなくても
 
なんだか面白い呑んだくれのオッサンとしてみんなが楽しい時間を共有した大事な経験
 
そういう空気を一緒に吸ったみんなが渡さんのレコードで朗らかに飲んでる姿
 
僕に写真を撮る才覚があったら、本当に残したかったアングルが昨日はありました。
 
過去何百回って聴いてきたレコードだけど
 
こんなに人を朗らかにするんだ、っていうのは昨日初めて気がついた。
 
なんか「ありがとうございます」っていいたくなる気分です(笑)。