アンチテーゼ

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朝方、チャンピオンズ・リーグ決勝バルセロナ×マンチェスター・ユナイテッドの試合を観た。
 
結果はご存知の通り3-1でバルサの圧勝。シーズン終盤から、しり上がりに調子を上げていたユナイテッドだったが、力の差は歴然としていた。
 
フットボールはまさにバルサ黄金期である。
 
確かで高度な技術、的確かつ効果的なポジショニング、そこから繰り出されるプレッシングから創造性溢れるパス、圧倒的なボール・ポゼッションと
 
まぁ非の打ち所がない。
 
かつヨハン・クライフがもたらした育成組織を重視したクラブ哲学
 
スペインにおける、カタルーニャという土地に象徴として存在するクラブの意義
 
 
クラブの背景も含め、特に日本では肩入れして見ている方々も多いと思う。
 
少年サッカーの現場でも、時代はまさに「バルサ」なのだ。
 
確かに、クライフ監督が率い、ロマーリオストイチコフ、グアドゥルップ、クーマンらが在籍した90年代初頭までの第一期黄金時代から
 
あのアホのファン・ハールがメチャクチャにした2002年の最低迷期を知っている身としては
 
「いやはやここまで来たか・・・・・よかったねぇ、チャビとプジョルさん!!」
 
と少々感傷的にならないこともないのだが・・・・・・・・
 
 
でもね
 
 
つまらないんですよ、もはや(笑)。
 
 
もういいや、こればっかりがもてはやされるのは。
 
 
 
2011年スタイルのバルサフットボール
 
50年代、ハンガリーの「マジックマジャール」に端を発し、ミケルスが率いクライフやニースケンスを擁した74年オランダの「トータルフットボール」の発展形、かつこの時点での究極のスタイルであるかもしれないが
 
そもそもフットボールとは
 
それを覆すことで進化、発展をしてきた競技なのである。
 
アリゴ・サッキが「ゾーン・プレス」を用い(これ、ナポリマラドーナ対策だった)80年代後半のACミランで成功を収めたことに端を発するイタリアっぽい「カテナチオ」への打開策が、ここ10年くらいのポゼッション・スタイルへの流れなのであるが
 
そろそろ「アンチテーゼ」がでてこないと面白くない。
 
その最先端がモウリーニョなのかもしれないが
 
今年はレアル・マドリを擁しても結果が出ず
 
かつあまりにもガチガチな守備~カウンターで(サッカーやっている人には、これがどれだけ凄いかはわかってくれるとは思うが)、どうにも評判が悪い(笑)。
 
今年のサー・アレックスはなんかやってくれるとは思っていたが、
 
ウエンブリーであえなく玉砕・・・・・
 
でもね
 
それでもなんか出てくるのがフットボールの世界の面白いところなのである。
 
バルサの天下も未来永劫続かないのがいいところで
 
「来シーズンこそは」と期待しつつ
 
ズ~ッと海外サッカーを「客観的」に観続けるのでありました。
 
主観的かつ感情的に観ているのは我が大宮アルディージャだけです。弱いのをきっちり認識しつつ偏愛するのもフットボールです。
 
はい、ひねくれモノなんですよアタシは(笑)。
 
1994&2002年にW杯で優勝したブラジルが、ノッポのフォワードを置いてひたすら放り込むノルウェイに一度も勝てなかったとかがフットボールの魅力なのです(笑)。
 
ああいうのを観ると「ざまぁみろ」って思う。元来「アンチジャイアンツ」の血が騒ぐのです。
 
 
 
少年サッカーの現場に関わる方々に言いたいことは
 
あのバルサのスタイルがフットボールの全てではないということを少年たちに教えていただきたいのです。
 
バルサの選手たちの技術は大いに参考にすべきですが
 
特にボールを受ける時の体の向きや、受ける足の側やボールの置き場所は絶対に参考にすべきですよね。
 
そのクラブがおかれた立場、地域性、民族性、クラブ予算、そんなことが起因して世界中にいろんなスタイルが存在します。
 
どれが正解でどれが間違っているということはひとつもありません。
 
で、圧倒的に不利だろう、って思うクラブがビッグ・クラブに勝っちゃったりするのも魅力のひとつ。
 
それも冷静に分析すれば、「偶然」ではなく「必然」だったりする。
 
 
・・・・・いやはやフットボールの話になると長いんですよ、すみません・・・・・・・・・
 
 
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で、ようやく本日のレコード(笑)。
 
1962年、ビートルズのデビューアルバムがこれ。「PLEASE PLEASE ME」です。英パーロフォンのセカンド・プレスのモノラル盤。通称「イエロー・パーロフォン」。ファースト・プレスの「ゴールド・パーロフォン」は一般庶民以下の生活を営む弱小飲み屋店主にはちと手が出ない代物。ステレオ盤だとかるく10万越えです。でもこのセカンド・プレスでも十分いい音。これでも1万円近くしたなぁ・・・・・。
 
ビートルズデビュー前夜の音楽シーンは、ロックン・ロールのポップ化が浸透していた時期だった。
 
54年のエルヴィス登場とともに若者に衝撃をもって迎えられた「ロックン・ロール」という音楽は、
 
やがてポップスの世界にソフィスケートされて消化されていく。
 
アメリカン・ポップス好きにはたまらない時期なのであるが、ロックン・ロールを人生をも変える衝撃として受け止めていた若者にとっては、なんとも退屈な時期なのである。
 
これは、77年のパンク興隆がやがて80’Sポップスに大衆化されていったのと全く一緒の流れだ。
 
こういった時期に、ロックンロールの初期衝動を、もう一度表舞台に持ち上げた貢献者がビートルズなのだ。
 
それも今度は、マッシュルームカットでメンバーそれぞれがアイドル的要素を持ち、しかも4人で楽器を弾き唄い、自分たちで作詞作曲するのだからそりゃみんなビックリするし、ティーンのハートを鷲づかみするのには十分過ぎるのであった。
 
だからビートルズもこのデビュー時期は、世の流れに対する「アンチテーゼ」だったのであります。
 
ビートルズの凄いところは、ただの一発カウンターではなく、激動の60年代にいて常に最先端の発信者であり続け、そして変化し続けたということ。
 
それにはアメリカのポップス、ロックン・ロール、R&Bをこよなく愛し、研究しつくし、自分たちなりに具現化するための最大限の努力をした「基礎体力」の高さがあってこそですが。
 
だからこそ、いまだ誰も到達できない奇跡の存在なのであります。
 
60年代というあの時でなければ、リヴァプールという小さな港町出身の彼らがここまでにはならなかったと思う。
 
全ては時代が生み出した偶然、いや必然だったのかもしれない。
 
 
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このライブは英国でデビューして2年経った彼らがアメリカに初上陸して行ったライブの一こま。
 
このみなぎるエネルギーは凄い・・・・・・・
 
 
 
さてさて
 
 
ペップ・グラウディオラ率いるFCバルセロナ
 
ひとまずの完成期を経てこのあとどうなるのか?
 
ペップはどこかに移るのか?
 
それとも残って新たな選手と戦術を取り入れて「変化」するのか?
 
またはカンテラからの方針を変えずに「純化」するのか?
 
 
これに対するアンチテーゼは?
 
 
昨シーズンまでにコペンハーゲンルビン・カザンが一瞬見せてくれたような、前掛かりな「対バルサ対策」を進化させたチームが現れるのか????
 
 
ということで
 
来期も楽しく「現在進行形」のフットボールを追いかけます!!