重松清三昧の毎日。
こんなに一人の作家をまとめ読みするのも久しぶりだ。
中学の夏目漱石以来か。もうほとんど覚えてないのだけれど。
漱石、もう一回読み直したいな。
福岡史朗君と雑司ヶ谷のお墓参りしようといってるけど、まだかなってないわ。
重松さん、よほど文体が自分に合うのだろう。どれ読んでもグッとくる。
夜勤明けの今日も12冊買ってきたよ(笑)。
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今のところ、一番好きなのは「きよしこ」。
泣けて泣けて。
年末にNHKでドラマやってたね。あれもよかったな。
先週読んだので一番グッときたのが「せんせい。」という8つの物語からなる短編集。
今日はその一編のお話。
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冒頭の一発に心をわしづかみにされた。
反則だ、これは。
タイトルは
「白髪のニール」
勘の鋭い人ならわかるかな?
そう
ニール・ヤングをモチーフにした短編小説なのです(笑)。
こんなの初めてだよ。ニールが小説になるんだぜ。
僕が知らなかっただけか。
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ニール・ヤングってとても変な人で
でも一度好きになってしまうともうドツボでね。
勿論僕もそう。
どんな音楽評論よりも、この短編小説が彼の魅力を一番描きだしてる
そんな気がした。
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木村カエラを迎えた再結成ミカバンドで加藤和彦さんがニール・モデルのあのブラック・レスポールをかき鳴らしてるのを見た時
なんだか滅茶苦茶嬉しかったな。
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ニールさんの音楽に接するとき
僕はいつも「泣き笑い」になる。
笑っちゃうんだけど、涙腺が緩んじゃうんだよな。
というかボロボロ泣いてんだよ、いい歳のオッサンが
「馬鹿かお前は!!」って顔は笑ってるんだけど
無様なかっこよさ?
いやいや陳腐だな、それは。
でも
泣いて、かつ笑えるんだから
世界で一番幸せな音楽の一つなのかもしれないなって今思った。
小説の中に出てくるニール・ヤングのベストアルバム「DECADE」を聴いてる。
3枚組。持ってるけど通しで聴いた記憶がない。
大体アルバム単位で聴きまくってるのでベスト盤で聴こうという発想がなかったのかな?
でも悪くいな。というか未発表テイク多いな(笑)。
こうやって所有のレコードを聴きなおして、新たな発見して人生の終焉に向かうんでしょうね。
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「フジロック」にニールさんが来たのは2001年だったか。
貧乏性な僕は週末の営業を休めるはずもなく、行かずにあくせくと働いていた。
まだかろうじてバブルの残り香があった時で
土曜日は稼ぎ時だったのだ。忙しかった。
店の電話が鳴った。
「木下さん、灰太郎さんです」
と、バイトの女の子が電話を繋いでくれた。
「キノピー!!!!聞こえるかい???ニールがやってるよ!!!ほら!!!聞こえるかい???」
電話越しにクレイジーホースの爆音が聞こえた。
満を持して苗場に乗り込んだ灰太郎君は
確かその前がパティ・スミスだったのか
もう完全に出来上がってた。
店は最高に忙しい時間帯だ。
しょうがねえな、この酔っぱらいは・・・
「聞こえるよ、ありがとう!!そっちに専念してくれ。楽しんで!!!」
電話を切った後
でも嬉しかったな
僕もニールの伝説のライブに参加したんだ。
フジロックで2時間半だぜ。
アホか。
後日、フジロックに参加したデッドヘッズの二井さんが隠し録りしたライブ音源を頂いた。
「ああ・・・ね。あれは観ておかなくちゃいけないライブだよね」
音源全部聴いてから灰太郎と呑んでいろいろ感想を言った。
「俺、全然覚えてないんだよね。でも最高だったよ」
愛すべき酔っぱらいである。
華村灰太郎
名前くらい覚えていてもいいと思う。
人生で損はしない。
高円寺に居るよ。
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初めて
というか、唯一のニール体験は2003年。
日本武道館での「グリーンデイル」ツアーだった。
当時の最新アルバムの全曲再現というライブ。
1部がそれで、2部は従来の。
ナマで「HEY HEY MY MY」と「POWDER FINGAR」「ROCKIN’ IN THE FREE WORLD」を聴けたのは人生の宝物。
レヨナとタカシが別の日に行ったセットは「LIKE A HARRICANE」もやったらしい。
本人から話を聞いたときマジでむかついたけどね(笑)。
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ライブの前の日
というか当日
実は昼まで呑んでて
ベロンベロンで武道館行ったんだよな。
終わった後、吉祥寺の「のろ」でウーロン茶だけ吞んでた。
あの店で唯一酒を身体に入れなかった日だ。
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本当はやっちゃいけないんだけど
当時4歳の息子、逸平を一席の値段で参加させた。
肩車で武道館の入り口を潜り抜けた。
幼心にニールのニュアンスを染みこませたいと思って。
この間、息子と呑んでその話をしたら
「覚えてないな。俺、ニール・ヤング観てるんだ」
・・・・そんなもんだな(笑)。
でも、これから話を勝手に膨らませて自慢していいんだよ。
あの場に居たのは僕が保証する。ホントだぜ。
お前はニール・ヤングと同じ場所に居た。
ホントだぜ。
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重松さんの文章は
映像が浮かぶんだよね。
自分が体験したことのない風景が出てくる
でもそれは記憶の奥底のみんなが持ってる共通の何かなんだろうな
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「白髪のニール」
最高のエンディングを読んでた場所は
夜勤明けの高崎線
朝6時50分くらいの北本辺りか
人目をはばからず泣き笑いしてしまった。
恥ずかしかったな。
でも電車の中の人達は
寝てるかスマホいじくってるかで
僕への興味なんかない。
そういうもんなんだな、今は。