アレサ・フランクリン リスペクト  デイヴィド・リッツ著

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随分前に読了してたのだけれど、ようやく書く時間が出来たので。
 
どういう本かというと・・・・帯のコピーをば。
 
「自伝より真実に近い評伝”クイーン・オブ・ソウル”の真実」
 
1999年の自伝「FROM THESE ROOTS」はアレサが思い描く理想像に過ぎない。同書共著者が、愛してやまない故に本人からの告訴も辞さず著した「真実のアレサ像」。伝えたかったのは、彼女の暗い側面ではなく、彼女に対する自身の敬意である~
 
・・・はい。背景はかなり面倒な本です(苦笑)。
 
この手の本は僕もよく購入する。
 
好きなミュージシャンとかがどんな人生を送ってきたのか、とかどんな考え方だったのかは当然知りたくなるものだ。
 
この場合、「自伝」≒「自叙伝」と「評伝」では随分立場が変わってくる。
 
本人が書く自伝でも、他人が書く評伝でも、
 
どれが「正しい」ではなく、その立場によって内容は変わる。
 
この手の本は、あくまでも参考程度に抑えなければいけないとはいつも思うのだ。
 
その上で「読み物」として如何にその人の人生を面白く見せるか。
 
そこに尽きるんじゃないのかなって。
 
フェイクもリアルさも混在していいんじゃないのかなって思います。
 
 
それを思ったのは、高田渡という人が僕のかなり近くに存在していたのが大きい。
 
渡さんが亡くなった後出版された書籍、雑誌記事に疑問を持つものも少なくない。
 
少なくとも僕の目の前にいた渡さんはそんなこと言ってなかったし、みたいなね。
 
でも、その人に直接お会いしたことない人にとってはそこしか人物像を知る由もないのも事実で。
 
 
そう考えると、すでに僕が興味を持った時に鬼籍に入っていた人を深く掘り下げようと読んだ自伝評伝もそういう可能性は当然残されているわけで。
 
それでも自分が惹かれた「作品」の素晴らしさは変わらないのだから、
 
その作品を通してそれを創造した人物の物語を如何に自分なりに構築できるかじゃないのかなって最近思います。
 
 
前置きが長くなってしまいました。この問題はいつだって正しい答えはないんだよね(苦笑)。
 
でも一応書いておきます。
 
生前、渡さんがしょっちゅう僕に言ってたことがこれ。
 
「あのライター、たいして調べもせずにまた俺のこと好き勝手書きやがって!!」
 
でした(笑)。
 
 
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ディヴィッド・リッツがこの本を書きたかった理由はこういうことであるらしい。
 
前述したアリーサ(すみません。僕はアレサ・フランクリンはアリーサが正しい表記だと思ってるので)の自伝はリッツさんが彼女へのインタビューを通した共著となっているのだが、その際にどうも彼女には自分のパブリック・イメージを悪くするような事象に対して虚言癖のようなものがあるということ。
 
アメリカが生んだ不世出のソウル・シンガー、アリーサ・フランクリンを正しく理解してもらうためには、ありのままを伝えるのが彼女に対しての「リスペクト」の正しい姿ではないのか、と彼は考えた。
 
だから一部の人はこの本をただの「暴露本」と思う人もいるかもしれない。
 
でも「虚言癖」(あえてそう書くけど)もスーパースターとしての彼女の処世術のひとつでもあるんだよな。
 
そのくらい彼女は生まれた時から選ばれしの特殊環境にいたのがよく伝わる。
 
 
読んでみると改めてお父さんで牧師であるCフランクリンの存在の大きさがわかるし、僕らが思っている以上にアメリカ黒人コミュニティーでのCL知名度や地位の高さも理解できた。なんてたってマーティン・ルーサー・キングのマブダチだからね!!!
 
大好きなソウル・シンガー、姉妹であるアーマ&キャロリン・フランクリンとアリーサの関係性というのも興味深かった。(ジャニス・ジョプリンの代表曲のひとつ「PIACE OF MY HEART」はアーマ・フランクリンの曲です)
 
バプティストの特殊な倫理観(あくまでもこの本の中でですが)にもびっくりしたし、毎夜フランクリン家で行われるパーティーにはナット・キング・コールやらダイナ・ワシントンやらマヘリア・ジャクソンがいたり、
 
そんな中で幼少時から唄を披露していたアリーサ・フランクリンは最初から立ち位置が違うよね(笑)。
 
そういう特殊な環境にいたアリーサ
 
神が授けたとしか思えない表現力の豊かさ、そして生まれ持った感受性の異常な鋭さ
 
それが「社会人」としてある意味歪むのは本を通してなんとなくわかる。
 
 
10年以上前に出た彼女のアウト・テイク集は物凄いもんだった。
 
唄入れの時、感情が「アウト・オブ・コントロール」でリリースできなかったものばっかり。
 
だから唄はちょっと凄すぎる次元に行ってる。
 
 
残された音源を聴きながらこの本を読み進んでいくと、合点がいくことが多かったかなぁ
 
 
この本「問題作」ではあると思うが
 
人類史上でも録音物に残された凄い声を代表する一人である彼女をもっと理解し楽しむのには
 
読んだ方がいい本だとは僕は思いました。
 
 
さて、本日はアリーサのどの曲で昇天しようかなー(笑)。