「高田渡の視線の先に」

GW最終日に届いた写真集を何度も何度も眺めながら一日が終了。
 
高田渡の視線の先に」
 
久しぶりに渡さんと喋った気がして嬉しかったな。
 
何十年も前の写真なので、吉祥寺の風景は僕の知らないものばかり。
 
変わらないのは井の頭公園くらいか。
ボガはまだあった。
 
幼い漣の姿、なんとも微笑ましい。
 
というか「君も昭和の人だね」って(笑)。
 
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渡さんの写真好きは有名で。
 
自分の撮った写真を持ってきて
 
「店にあるこの絵を外して、僕の写真を飾りなさい。額は自分で買ってね」
 
なんて無茶苦茶なこともありましたな(笑)。
 
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渡さんが僕を撮ってくれた写真がどこかにあるはずだ。
 
その当時、渡さんの酒癖が物凄く悪くなってた時で、結構喧嘩してて。
 
数日後「木下君、ほらあげるよ」
 
って持ってきてくれた写真の僕の顔は
 
如何にも面倒くさそうな怒ってる顔で
 
随分残酷な写真を撮る人だなって思いました。
 
なんか、ファインダーを通しても本質を見抜いちゃうんだろうな。
 
「客商売やってんだから、そんな顔してるんじゃないよ」
 
って言いたかったんだろうな。
 
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凄いボリュームの写真集。
 
良くまとめたなぁ。大変だったろうに
編集者みたらS君だった。
 
良いお仕事!!素晴らしい!!
 
 
S君、随分お逢いしてないが
 
逢うと必ず
 
「あなたに話したいことがある」
 
って毎回言うんだけれど
 
そこから先を話されたことは一度もない。
 
変な奴(笑)。
 
 

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ノマドランド

話題の映画「ノマドランド」を鴻巣シネマにて鑑賞。
 
お客さんは5人。
 
僕の視界の前には誰もいない。
 
大画面の「ホームシアター」で隅々まで映画を堪能しました(笑)。
 
圧倒的な映像の美しさ。
 
こりゃ絶対映画館で観ないとダメなやつ。
 
広大なアメリカを僕は南部でしか体験したことないんだけど
この舞台はもうちょっと上の方なので
 
でも、あの感覚はわかる。
 
どこまでも続く大地の荘厳さは、人間はちっぽけなものだと思い知らされる。
 
でもその中でも
 
みんな自分の「居場所」を探してるんだよな。
 
探してるというか
 
「確認」したいのかもしれない。
 
過去にその場所があったとしても
 
人は生きていかなきゃいけないし
 
時は進んでいくもんだ。
 
滅多に旅はしないけど
 
風景が動いていくなかで気持ちがニュートラルになる感覚
 
あの感じ
 
もしかしたらそれが「居場所」なのかもなって思ってしまったりする。
 
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ノマド=放浪者
 
それを支えるのが
 
まさに現代を象徴するアマゾンの仕事だっていうのは
 
監督の強烈な皮肉でしょうな。
 
観てよかった。
 

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ジョンの魂

去年に引き続きやることのない2021年のGWだ。
 
なのでこんな夜中に久しぶりに「ジョンの魂」を大音量で聴いてる。
 
レコード・コレクターズで特集してた50周年記念盤、
勿論買うつもりはないが(笑)
 
それで久しぶりに聴いてみるか、と。
 
3年ぶりかも。
 
その3年前に灰太郎と桜井さんとで呑んでた時に
 
「どのくらいの頻度でこのアルバムを聴くか?」
という話になってね。
 
僕は「んんん・・・年に1,2回ですかねぇ」
って言ったら
 
桜井さんがこう言った。
 
「木下君、そりゃいくらなんでも聴きすぎだろ!!」って(笑)。
 
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初めて聴いたのは高校1年生かな。1981年だ。
 
ジョンが亡くなった後である。
 
当時のNHK・FMで深夜にアルバム丸ごと一枚ノンストップでかけてくれる番組があって
 
それをカセットに録音してね
 
とにかく聴きまくったんですよ
 
痛いほどとげとげしいんだよね、これ。
 
生身の人間の姿をさらけ出されるって、凄く衝撃だった。
 
音と言葉が頭にこびりついて離れないというか
 
10代の自分にはとにかくインパクトはありましたよ。
 
皆さんそうだと思うけど。
 
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僕が今持ってるのはデンマーク盤アップルのファーストプレス
 
マザースタンパーがUKと一緒なので物凄く音いいです。
 
もう一枚はモービル・フィデリティの例のオリジナル・マスター・レコーディング・シリズのやつで。
 
これがクソみたいなレコードでね。
 
B面のケツに「POWER TO THE PEOPLE」と「DO THE OZ」を足しちゃってるもんだから
 
A面の最後が「REMENBER」
 
B面の頭が「LOVE」
 
製作者の意図を完全に無視。
 
音楽はデータではないのだよ。
 
いい加減にしてもらいたい。
 
売らないで持ってる自分が意味わかんない。
 
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聴き終えてから文章書いてるが
 
やっぱり眉間にしわが寄った。
 
何時でも音の細部まで脳内再生できるアルバムのひとつだが
 
繰り返し聴きたいアルバムではない。
 
ザ・バンドの「BIG PINK」も勿論かなりの精度で脳内再生できるが
 
これはよく聴くなぁ。
 
今思ったけど
 
「艶」の問題なのかもしれない。
 
ジョンの魂はあまりにも個に向かい過ぎててドライなんだろうな。
 
痛いんだよね、どうにも。
 
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改めて聴きなおして
 
「WELL WELL WELL」が一番好きなのを思い出した。
 
これをカッコいいと思う感覚が
 
その後の音楽人生の指針のひとつなのかもしれない。
 
大学1年生の時
 
初めてマディ・ウォーターズを聴いて虜になったのは
 
このザラザラ感を体験していたからなのかもな。
 
勿論、マディの声とスライドギターの方がもっと淫靡なんだけどね。
 
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このアルバムを神格化したり絶対として語る人とは呑み屋で同席したくないが
 
聴いたことのない人には僕は絶対説教するだろう(笑)。
 
うまく距離感が保てないアルバムNO.1だな。
 
でも一生手元に置いておくアルバムだ。
 
次に聞くのは5年後くらいにしておきたい。
 
それまで生きてたいね。
 
 

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人新世の資本論

今日の東京新聞夕刊の一面でも取り上げられてた
斉藤幸平著「人新世の『資本論』」
 
普段この手の本は全く読まないんだけど
 
これは読んで良かったです。
 
特にコロナ禍、閉塞感ばかりの今後をどうやって生活していけばいいかのヒントはかなりあると思う。
 
コモン、コミューンの再定義
 
でも、実は周りの人達は
 
特に僕が仲良くしてもらってるミュージシャン達は
 
結構前から気がついていて、やってんだよね。
 
だから間違えてなかったんだというか。
 
あとはそれぞれの立場からそれを考え直していくというか。
 
震災があって
 
そのあと安倍に無茶苦茶にされて
 
6,7年前から先を乗り越えるだけの「思想」って出てくるんだろうかってずっと考えてたけど
 
ようやくみんながもやもや思ってたことが、一本筋が通って言語化されたなって気がします。
 
25万部も売れたんだってね。
 
凄いな。
 
まだまだ日本も捨てたもんじゃないのかな(笑)。
 
あとは個々の行動なんだろうね。
 
難しいことをとても平易な言葉で書いてるので
 
とても読みやすいですよ。
 

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ムッシュ!

ムッシュ!」一気に読了。

面白過ぎる。

僕は逢うことは叶わなかったけど、

周りに親しくしていた人が結構いるのでいろいろとムッシュの話は聞いていたのだが

この方は本当に分けへだてないフランクな性格なんだな、と。

ムッシュのように自由なスタンスで生きていきたいですな。

でもこの人、常に客観的に判断してるし

好きなものは最初から一つもブレてない。

いい本読みました。

デキシード・ザ・エモンズも文中に出てくるよ。
 
 

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THE SMILE OF LIFE

んんん・・・

なんだか年末から細野さん縛りで音楽聴いてるなぁ(笑)。

 

そんな気ないんだけれどね。

 

なんだか偶然にそうなってる。

 

今日もたまたまツィッターのタイムラインに流れてきた

 

細野さんと久保田真琴さんのインタビューをついつい見入ってしまって(約2時間)

 

で、その中で語ってたアルバムをもう一度聴いてる次第です。

 

☆再配信 Makoto Kubota Presents夕焼け楽団リマスター発表記念#1久保田麻琴 細野晴臣 Makoto Kubota Haruomi Hosono(English subtitle) - YouTube

 

引き籠りの年末年始なので時間はたっぷりあるのでね(笑)。

 

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夕焼け楽団のアルバムでもよかったんだけれど、

 

今日はこれ。

 

ロニー・バーロンの2枚目のアルバム

 

「THE SMILE  OF LIFE」です。

 

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78年リリース。

 

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知ってる人はもちろん知ってる名盤。

 

でも、あんまし知られてないかなぁ・・・。

 

 

ロニーさんが一般的には有名ではないので、ね。

 

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ご存じない方に一応説明。

 

ロニー・バーロンはドクター・ジョンの幼馴染にしてキーボード・プレイヤー。

 

ドクターのバンド、ナイト・トリッパーにも在籍し、

 

その後、ポール・バターフィールド率いるベター・デイズにも参加した。

 

ドクター・ジョンの名盤「GUMBO」収録の「BIG CHIEF」でオルガンを弾いてるのが彼である。

 

 

久保田真琴夕焼け楽団の「デキシー・フィーヴァー」に参加したことから交流が出来て

 

彼の2枚目のアルバムを作ろうと

 

細野さんをプロデューサーに迎え、日本主導でできたのがこのアルバムなのです。

 

このアルバムで3曲だけ2年前のニュー・オーリンズ録音のものを使ってるのだが

「MOON SHINING BRIGHT」「RUNNING SOUTH RUNNING NORTH」「SOME PEOPLE」

 

バックはミーターズドクター・ジョン!!

 

で、あとの全ては日本人によるバッキングサポートなんですけどね

 

これが凄いんですよね。

 

本場に全然ひけをとらない演奏力。

 

夕焼け楽団&ティン・パン・アレイ周辺の面々が最高の演奏を聴かせてくれます。

 

世界に誇るMADE IN JAPANのレコードだと思ってます。

 

このアルバムでドラムを叩いてる上原ユカリさんと呑んだ時にいろいろ聞いたのだが

 

HONEY,HONEYとLOVE AFFAIRは絶対ユカリさんだろうな。日本で一番素敵な8ビートを奏でる人です)

 

「とにかくさ、唄が滅茶苦茶上手いんだよね」って言ってましたな。

 

そうそう。

 

1978年という時代の流行りのコンテポラリーさも包括しつつ

 

B面2曲目の「悪魔の戯れ」が最もな重要曲。

 

ニュー・オーリンズのビートを基にして

 

そこに沖縄やらエキゾチックやらラテンやらカリプソやらをぶっこんだ

 

泰安洋行」という世紀の「名迷盤」を生み出した細野さんが

 

本物のオーリアンに

 

「チャンキー・サウンド」をかましてね

 

それがものすごくマッチングしてるという奇跡みたいな曲です。

 

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そうそう。

 

結局、細野さんが残した音を聴いてるとさ

 

場所が関係なくなっていくんだけど

 

でもそれはちゃんとした「場所」を理解してないと表現できないことでね。

 

・・・・わかるかな?

 

わかんないだろうなぁ・・・・

 

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まぁ、とにかく聴いてもらいたいアルバムの一枚です。

 

再発CDもまだ買えるよー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

22年目で繋がった!!

細野晴臣と彼らの時代」を読んでいて、22年前に購入したレコードの謎が解けた。

 

それはセニョール・ココナッツという怪しげなオッサンの「EL BAILE ALEMAN(踊るドイツ人)」というもの。

 

1999年リリース。

 

当時あったタワーレコード吉祥寺店で目立つところにアナログ盤があったので購入したんだっけ。

 

ジャケ見てお判りの通り、ラテンのレコードなんですが

 

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なんと曲はドイツのテクノバンド、クラフトワークのカバーなんですよ(笑)。

 

アホなおっさんいるなぁ、なんて愛聴してましたね、当時。

 

「ヨーロッパ特急」とか滅茶苦茶カッコいいんです。

 

グィロとかコンガの音をサンプリングしてループさせてたり

 

アウトバーン」も脱力系クンビアでねいいですよー。途中でビーチボーイズになったり。

 

今結構流行ってる(らしい)エレクトリック・クンビアの先駆けかもしんないな、なんて今聴くと思ったり。

 

マーティン・デニー風の仕上がりの曲とかもあり、かなり面白がって聴いてました。

 

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で、そんなことすっかり忘れて(普通にマンボのコーナーに収納してました)

 

時は22年経ったんです。

 

思いもかけずこの本の中で再会!!!

 

「へぇ~~~~!!!!」

 

 

でした。

 

この人、セニョール・ココナッツさんはアトム・ハートというチリ在住のドイツ人で

 

どうもビル・ラズウェルとかとも交流があって

 

細野さんとかテイ・トウワとかとも仲が良いらしい。

 

この辺のアンビエントとかテクノとか

 

一番興味を持たなかった音楽なのでね(笑)

 

その辺好きな人は当然知ってたんでしょうねぇ。

 

22年かかってこのレコードがどういう者なのかがわかりました。

 

ありがたや。

 

2006年にはYMOのカバーアルバム出してたみたいで

 

早速ヤフオクでポチリました。

 

届くのが楽しみです。

 

 

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YMOの「東風」のカバー。かっこいいですわ。

 

www.youtube.com